RENKEI Interdisciplinary Workshop in Osaka: Living with an Ageing Society

高齢化社会とともに生きる:大阪大学学際ワークショップ

高齢者が増える社会を、世代を超えた協調によっていかにして住みやすい社会にするか?

チャレンジ 

日本と英国はともに平均年齢が高まり、総人口に占める高齢人口の割合が高くなっている。両国で65歳以上が16歳以下を上回り、この先12年間で85歳以上の人口が現在の倍になる見込みである。日本では少子化のため、少数の生産人口が多くの高齢者を支えなければならない。英国では近年の出生率は増加しているものの、出生率と長寿者人口の増加により、2050年までに人口の50%は非生産人口、つまり子供かお年寄りとなってしまう。このことが社会や健康に及ぼす影響は周知のことであり、いかにこの状況とともに生きていくかは我々世代にとって大きな課題である。

社会の高齢化に対してはネガティブな見方が主流であるが、我々はポジティブな可能性を見据えている。つまり、生まれたばかりの赤ん坊からアクティブな曾祖父母まで、各世代でバランスよく構成さる社会の実現である。従って我々の関心は病気の予防はもちろん、今後ますます異種混交となっていく社会の中でいかにより多くの高齢者が健康を維持していくのをサポートするかにある。そのためには、医学、生体力学、生物学、社会科学といった学際的な取り組みが国の枠組みを超えて求められる。

このような背景のもと、「高齢化社会とともに生きる」というプログラムを立ち上げた。本プログラムでは、日本と英国から多様な分野の参加者が集まり、協力してこの領域の難問に対して独自の解決策をデザインする。

目的

  1. 講演および施設見学を通じ、現在の高齢化社会の実態や問題についての理解を深め、日本における高齢化社会に対する最新の取り組みについて学ぶ。
  2. 長寿の郷訪問を通じ、地域高齢者との交流を深めながら、高齢化社会を支えるために自治体や住民レベルでどのような取り組みがなされているかを学ぶ。 
  3. グループごとに高齢化社会に関する問題を取り上げ、それに対する解決策をデザインする。
  4. 日英の他大学の学生・若手教員と討論を行うことにより、批判力とコミュニケーション能力を高める。
  5. 本ワークショップのプログラムを通じて、メンバー大学の参加者間で人的ネットワークの構築を図り、将来の研究協力と人的交流の礎を築く。
  6. 日本の歴史的・文化的資産に触れる。

プログラムの概要

  1. 講演および討論:
    内容は、老年学研究の概要、高齢化の人口統計学、高齢者のためのユニヴァーサルデザインとユーザビリティ、日本におけるシニアビジネス、高齢化社会のための最近のロボットテクノロジー、高齢化社会へのアプローチにおける日英間の相違と類似、老化の生物学、老化の生理学、老化の歯と口腔的側面、老化の社会的側面、老化の感情的側面、認知的老化。学術の他、企業によるプレゼンテーション。
  2. 現地視察:
    (1)但馬長寿の郷での宿泊研修。養父市シルバー人材センターのメンバーによる高齢化社会を支えるための様々な取り組み紹介。劇、体操、餅つき、童謡などの文化的体験を通じた高齢者との交流。
    (2)ATCエイジレスセンター(日本最大級の健康・福祉・介護関連の常設展示場)見学。
    (3)介護付有料老人ホーム六甲見学。
  3. 日本の歴史・文化の学習:
    日本最古の銀山の一つである生野銀山探検、生野の町散策、生野まちづくり工房井筒屋見学
  4. グループによるプレゼンテーション

プログラムの成果

ワークショップを通じて、老年学に興味を持った院生および若い研究者たちが、老年期に対する考え方の文化的な違いを理解し、共通の問題解決ためにアイディアを出し合い、将来的なプロジェクトを計画できた。参加者は5つのグループに分かれ、それぞれワークショップ最終日にプロジェクトのアイディアを発表した。

  • グループ 1: Three Y Zetto 「エルダリー・チルドレン」
  • グループ 2: LEAC 「コンパニオンロボット研究」
  • グループ 3: Ulysses 「社会的相互作用を可能にするハイテクツールの、異なる文化における受容可能性の探究:方法論的考察」
  • グループ 4: IDC 「地域社会のためのインテリジェント・デザイン」
  • グループ 5: Team Godzilla chan 「一汁三菜VSサンデーロースト」

リード大学

  • 大阪大学
  • リバプール大学

問合せ先

renkei@britishcouncil.or.jp