日本では大学入試が2技能(リスニングとリーディング)中心であったことと関連し、特にスピーキングの力を測る機会がほとんどなく、授業でもスピーキングの練習をすることがあまりありませんでした。そのため、「日本人はスピーキングはできない」と決めつけた意見を聞くことがあります。ここでは、そんな誤解について考えてみたいと思います。

日本人のスピーキング力の低さについては、日本人の内気な性格や、英語を使う機会が限定的であることなどが理由にあげられることがあります。また、聞き取れないからだ、という意見もあります。けれども、日本で学校の先生方に指導力向上の研修を実施してきた経験から、話せない理由は違うところにあると考えています。

スピーキング指導をする中学校や高校の英語教師の悩みとして、「スピーキング活動をやってみたが、うまくいかなかった」「生徒が話をしたがらない」という声を聞くことがあります。これまでに拝見した英語の授業から、話せない理由のうち主なものと解決策をご紹介してます。

話せない大きな理由として、「何を言っていいかわからない」場合があります。これには、①言葉(英語)自体がわからない場合と、②内容がわからない場合が考えられます。①言葉がわからない場合は、活動に必要な表現を事前に教えることが必要です。その際、教師が適切なモデルを示すこともとても役立ちます。②話す内容(何を言っていいか)がわからない時は、内容を考える時間をとったり、身近な話題から始めます。言葉を知っていても話題に関心がないこともありますから、その場合は学習者が話題と自分の関連性を感じられる工夫をします。

そのほかにも、話せない理由には、相手との話が続かない、恥ずかしいなど様々なものが考えられますが、それぞれに対応する適切なアプローチがありますから、専門的な視点から指導改善を行うことが可能です。

世界の英語教育実践、第二言語習得の理論や技能は、各地での調査研究を経て、エビデンスを元にしたアプローチが。ブリティッシュ・カウンシルでは、そういったエビデンスやデータに触れながら、日本人特有の課題にも配慮し、実践的で専門的なアプローチをご紹介しています。

英語を教えるということは、専門的なスキルであり、根拠のあるアプローチを活用することが有効です。スピーキング指導の授業技術を習得し、実践している教師からは、「こんなに生徒が話せるとは知らなかった」「スピーキングを楽しんでいる」という報告が多く届いています。こういった取り組みが続く限り、日本人が英語を話せない、という声は近い将来聞かれなくなるのではないかと期待しています。 

  

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