10年の連携と協力を記念し、さらなる成長の可能性を描く
2012年に発足したRENKEIは、研究に焦点を当てた戦略的提携を進める二国間コンソーシアムとして日英間においては先駆的な取り組みといえ、その活動は10周年を迎えました。10周年を記念して、RENKEIメンバーと外部の主要な関係者を集い、コンソーシアムの成果を振り返り、その強み、課題、機会を特定し、将来の方向性について議論するイベントを、2022年9月30日に東京の国際文化会館で開催いたしました。
このイベントの開会は両国政府を代表し、英国からはジュリア・ロングボトム駐日大使が、また日本からは文部科学省井出庸生副大臣にご挨拶を頂きました。また同時期に来日したテリーザ・メイ前英国首相がビデオメッセージでサプライズで登場しました。各代表はRENKEIの設立理念が両国の政府の優先事項と合致していることを再確認し、次世代の研究者や指導者の二国間交流と協力の促進を行ったという点でRENKEIの貢献を評価しました。また、地球全体の喫緊の課題に対する解決策を提供する上で共同研究が果たす重要な役割と、それを促進するためのRENKEIの役割について言及しました。
続いて、RENKEIのメンバーからは、現在注力している気候変動(Climate Change)と健康(Health)という2つの分野におけるコンソーシアムの成果と、今後の方向性について話し合いがなされました。特に気候変動分野では、RENKEI 10周年記念グラントプログラムなどを通じてして若手研究員の育成に努めてきました。他方、COP26に関連した研究プロジェクトではRENKEIメンバーに加え、タイやベトナムの大学との共同研究も行いました。
健康分野の研究はまだ初期の段階ですが、パンデミックによってこの分野の重要性が浮き彫りになりました。コロナ禍において、本分野での活動は主にオンラインで実施されてきました。
気候変動と健康は依然として世界的な最優先課題であり、この2つの課題への取り組みは今後も継続していくという方向で合意されました。健康の定義をより社会的な側面を含むように拡大し、2つの優先課題の重なるところも検討する可能性があります。また安全保障の様々な側面など他の新しいトピックに取り組むことについても話し合いが行われました。他方で、本コンソーシアムでは学際性が重要な強みであることは踏襲し、幅広い研究者やトピックに対応できるコンソーシアムであり続けたいと考えています。
イベント後半では、異なるセクターとのさらなる協力を通じて、RENKEIのインパクトを強化することついて検討されました。気候変動と健康の両分野で成功を収めている(株)ヘリオスの鍵本忠尚CEOと、科学技術振興機構(JST)国際部小林治部長が、政府や産業界との緊密な関係構築についてプレゼンテーションを行い、その後、パネルディスカッションが行われました。
これらのテーマは、英国ビジネス・エネルギー・産業戦略省最高科学顧問のポール・モンクス教授と米国競争力評議会のチャド・エバンス上級副会長による基調講演でさらに深められました。両氏は、RENKEIが産業界や公的セクターと連携して研究を商業化することには、さまざまな可能性があることについて述べられました。大学はパンデミック後の経済成長を推進する必要に迫られており、多くの企業は新しい技術を採用したいと考えているが、科学的根拠を確認するためにも、大学とのつながりの必要に迫られている。RENKEIは、そのようなつながりを促進するのに適した存在であるとことが強調されました。
またパネルディスカッションにおいては、官民学のパートナー間の関係を構築するためのエコシステム・アプローチの必要性について話し合われました。国や二国間の優先事項や、それに取り組むために必要な具体的な政策、資金、研究などにつき議論がなされ、また将来的な社会的課題の焦点が変わるにつれ、RENKEIも更に進化する必要性を認識するに至りました。
RENKEIは、政府からの資金提供や起業家による今後のビジネスチャンスを見極めることで、グローバルな課題に取り組むために協力し、活性化することができる強みを有しています。二国間協力の実績、信頼と理解の蓄積、そして研究の専門知識は、その最大の強みといえます。
日英の二国間関係は、教育及びその他の分野でも非常に強い結びつきがあります。日英両政府は、RENKEIの活動、特に国際的な経験を持つ若手研究員の育成に前向きであり、今後両国間で若手研究員の交流が増加することをRENKEIメンバーも期待をしています。
モンクス教授は、RENKEIは多くの可能性と選択を持つコンソーシアムで、優秀な人材、確立された協力体制、パートナーへの深い相互理解、そして今後10年間で社会にインパクトを与えるための可能性にあふれているという主旨の言及を頂きました。
今後更なる発展を目指して私どもは尽力していきます。