段階別の指示
わかりやすい説明や指示をすることは、すべての教師にとって必要なスキルのひとつであり、これを外国語で行う場合には一層の配慮が必要です。英語で指示や説明をする時には、生徒が理解できるように、段階に分け、簡潔で、わかりやすいものとなるように配慮をします。「第1に~をして、第2に~をして」というように、明確で、必要なことだけを、全員が理解できるように工夫をすることが大切です。これは簡単に見えても熟練が必要なスキルで、慣れるまではついつい長く複雑な説明になりがちです。授業前に一度リハーサルをすることをお勧めします。教師の指示が短い時間でできると、生徒の理解が深まるだけでなく、生徒が言語活動をする時間が増やせます。
状況や場面の設定
言葉は人との関わりの中で用いられ、それぞれに適した表現や場面があります。そのため、言語活動を行う際に、どのような場面や状況、目的であるのかを明確に設定しましょう。コミュニケーションをする時には必ず聞き手・読み手・話し手・書き手がいて、何か伝えたいことがあります。その場面や状況等を設定することで、実際の使用場面や働きに対する理解も深まります。そして、その状況に即した言い方や意味を提示し、活動に必要な語いや表現を教えましょう。どのような場面で使うのかを明確に示し、繰り返し使っていくことで定着を図ることができます。そして、言語の背景にある文化に対する理解を深め、他者を尊重し、共に問題解決を図ろうとする態度を育むことにつながります。
日本語の効果的な活用
日本では、授業以外で英語を使う機会は限られます。そのため、教室での主な使用言語を英語にするという原則は非常に意味があります。英語の質問に生徒が日本語で答えた場合でも、その発言を英語で言い換える(recast)などして、教師が英語を使い続けることは大変重要です。その原則に沿った上で、学習者の言語レベルにより、学習者の第一言語(多くの場合日本語)を使うことが効果的な場合があります。例えば、授業や特定の言語活動のねらいの確認、単語やフレーズなどで特に抽象的な意味合いを理解する場合。あるいは、特定の文法構造が使われている意図など、抽象的な内容を討議する場合です。授業での英語と日本語の使い分けを計画し、日本語が効果的な場面を判断することが必要です。世界的には、すべてを英語で行うよりも第一言語を効果的に使用する流れにあります。英語コミュニケーション力の向上には、英語を使いながら学ぶことが非常に有効であることには変わりなく、「いかなる時も英語」と「日本語が効果的」とのバランスをとります。

 

English Richな授業を実施するために―教員への支援

ここでご紹介しているテクニックを、すぐに授業で使いこなすことは簡単ではないかもしれません。なぜなら、これらは専門的な知識とスキルを要するものであるためです。英語教師には一定の英語運用力に加え、このような英語指導における専門性も求められます。それも知識だけではなく、学習者が実際に授業で言語活動を効果的に行えるように、手本を示し、支援し、導くことができる実践的なスキルが非常に重要です。第二言語習得に基づく英語教授法は世界各地で研究と実践が進んでおり、学習効果を上げているエビデンスのある指導法が多く紹介されています。

これらの指導法を習得するにあたっては、実践的なワークショップ形式の研修で体験・練習(マイクロティーチング)を重ね、実際の授業で使うイメージとテクニックを高めていくことが効果的です。研修後にはすぐに授業で実践することを強くお勧めします。また、実施した授業の成果や課題をもって再度研修に参加すると、実践内容を発展、修正することができます。こうした研修と実践の繰り返しが、English Richな授業の充実につながります。

ブリティッシュ・カウンシルでは、学校教員を対象に実践的な英語教員研修を実施しています。

「English Rich」な授業体験を通して、授業で使えるアクティビティを習得し、アクティブ・ラーニングの研修スタイルで授業実践力を高めていただけます。中学校・高校はもちろんのこと、小学校英語にも対応しています。

研修の効果

ブリティッシュ・カウンシルで通年型研修を受けた中高英語教員へのアンケート調査では、「スピーキングを指導することに自信がある」と答えた割合は、研修前26.3%から、研修後63.2%に増加、「生徒の英語が上達していることがわかる」と答えた割合は、46.7%から63.2%に増加しました。また、受講者からは「授業を英語で進める指導テクニックや、すぐに使える活動事例を体験することで、授業実践力を高めることができた」「コミュニケーション型の授業を行うことで、クラス全体のモチベーションが高まり生徒が自然と英語で返答するようになった」などのフィードバックが寄せられています。

ブリティッシュ・カウンシルの英語教員研修について