English Richを成立させるためのテクニック

目指すのは"All English"よりも"English Rich"

学校で生徒が英語4技能を身につけていくためには、授業を「英語を使う場」にすることが大切です。そのために基本となるのは、まず教師が授業で英語を使うことです。その時に重要なのは、教師が話す英語の量のみならず、質にも留意し、すべてを英語で行うことを指すAll Englishよりむしろ、English Richな授業を行うことです。English Richな授業では、教師とともに、生徒も英語を使い、有意義で楽しいコミュニケーション活動が活発に行われます。そして、生徒のモチベーションだけでなく、英語力も高めます。充実したEnglish Richな授業を行うための代表的なテクニックをご紹介します。

生徒の理解に合わせた英語使用
教室内で英語でのコミュニケーションを促進するためには、まず教師が自分の英語を振り返り、生徒の理解に合わせた英語を選択・調整することから始めます。生徒の言語習得レベルや使用状況などに配慮し、どのような場面でどのような表現を使用するのが効果的かを考えます。語いや表現、スピードなどを適切に変え、生徒の理解に適当な英語を使うことによって、生徒が意味のある、理解できるレベルの英語をたくさん聞き、慣れ親しむ機会となり、教室を英語によるコミュニケーションの空間にする第一歩となります。教師が授業を英語で進めることは、生徒の集中力やリスニング力の向上にも貢献しますが、生徒が理解できる英語であることが必須です。シンプルな教室英語を使う教師は、生徒にとって英語の使い手としてのお手本であり、「先生のようになれる」という目標にもなります。
指示の理解度確認のための質問(ICQs)
教師が英語で行う言語活動の指示を、生徒が理解できたかどうかを確認するにはどうしたら良いでしょうか。この場合は、*Instruction Checking Questions (ICQs) というテクニックが効果的です。指示や説明の後にポイントを絞った簡潔な質問(What’s the first ~? How many?  など)を行うことで、生徒の理解具合を確認でき、英語を使い続けることもできる手法です。教師が”Do you understand?”と尋ねても生徒の理解度は把握できませんし、理解を助ける手段にもなりません。生徒が”Yes.”と答えたのに、実際にやり始めると指示が伝わっていなかったことはありませんか。ICQsを使う教師からは、「授業での言語活動が驚くほどスムーズに行えるようになった」という感想がたくさん届いています。
インフォメーション・ギャップ
インフォメーション・ギャップとは、自分とコミュニケーションをとる相手との間にある「何か知らないこと」を指します。一方が知っていて他方が知らないという情報の差があると、コミュニケーションを行う必然性が生まれ、インフォメーション・ギャップのある活動は、新しい発見があり、より興味深く、モチベーションが高まるものになります。言語活動に取り入れる場合、すでにあるインフォメーション・ギャップを利用する方法と、人工的にインフォメーション・ギャップを作り出す方法とがあります。前者の場合はすでに身近にある、他者との日々の経験や興味関心の違いに焦点を当てます。後者は、タスクの設定によって、お互いが異なる情報を持つように設定します。いずれの場合でも、インフォメーション・ギャップがあれば、目的と意味を持ってコミュニケーション活動を展開できます。
自分ごと化・自己関連性
自分の考えや気持ちなどを表現する活動をする時には、教科書の題材を生徒の生活や経験に関連づける工夫が必要です。例えば、教科書のスポーツがテーマであれば、生徒が好きなスポーツや観戦するスポーツなどについてやり取りをするタスクを設定します。アクティビティをする時に生徒が選択する、好みを言う、想像力を使う等のちょっとした工夫をすることでも、学習者にとって身近で関連性を高めたり、言語を学習者に関連付けることができ、コミュニケーション活動が意義あるものになります。そして、長期記憶に残りやすくなります。この工夫は授業のどの段階においても可能ですが、テーマがあまりにも個人的な話題や皆が同じ情報や経験を持つ場合(校外学習など)には不向きで、生徒の知識や言語レベルに十分な配慮が必要なこともあります。

≫ Part2に続く