英語の学習で何らかの「つまずき」を感じている生徒の学びを支援するための知識と、教師の支援方法をご紹介するセミナーを開催しました。日本語母語話者によくあるつまずき、どの教室にもいる学習障害のある子どもたち、そして指導の留意点までをテーマに扱いました。小中高の校種関係なく、子どもたちを「英語嫌い」にさせないための、英語教育に関わる先生方必須の知識です。

このセミナーのレポートをPDFにて公開いたします。このページの下部よりダウンロードの上ご参照ください。

【プログラム】

第1回  ワーキングメモリと英語学習 湯澤美紀氏 

ワーキングメモリの能力には個人差があり、情報処理や記憶の仕方も人によって違います。英語学習では、似た音や文字を混乱したり、日本語にはない音の聞き分けの難しさが課題になります。そのため、指導者がワーキングメモリの限界を考慮し、それを補う適切な教材選びや授業設計を行うことの大切さをお話しいただきました。

第2回  学習・発達障害と英語学習 山下桂世子氏 

ワーキングメモリが少ない子どもにとって、英語の読み書きは日本語以上に困難であるため、英単語の丸暗記やひたすら書いて覚えるという指導はあまり効果がありません。発達障害や学習障害をもつ子どもの特徴や、授業での困難を確認した後、そうした子どもたちに適した、授業の進め方についてご紹介いただきました。

第3回  子どもの「できる」を支える指導方略 山下桂世子氏

Scarborough’s Reading Ropeを通して、 複雑な読む力を細分化して理解した上で、読み書き困難をもつ子どもたちの指導を考えました。国語の文字指導と似た体系的なアプローチを持ち、高い学習効果を上げている、英国の読み書き指導「シンセティック・フォニックス」についてもお話いただきました。  

【参加者からの感想 】

  • 「生徒たちのワーキングメモリにこんなに差があることを初めて知りました。教える側がどう対応するか、工夫が必要なことだとわかりました」
  • 「生徒が、難しくなると『もうだめ、できない』とふさぎ込んでしまい、日々の授業に悩んでいましたが、支援が必要な生徒への教材作成、授業の構造化の必要性について知ることができました。授業に活かしていきたいです」
  • 「どの子も『できた』を味わえるような英語の授業を行うには、英語そのものに対する困難をかかえているのか、英語以外の面で困難があるのか理解しておくことが大切だとわかりました」
  • 「Scarborough's Reading Ropeは読み書き困難の子どもたちのために、何ができて、何が苦手かなどを考える際にも、見やすくわかりやすいと感じました。国語においても、同じようなことが言えるので、今後読み書き困難な子どもたちの指導に活かしたいです」