「新しい小学校英語の取り組み」に関するセミナー(2025年8月開催)より、講演「読み書きがつまずきになる前に-科学で支える小学校英語」のレポートを公開しました。「読み書き指導の空白地帯」とも言える日本の英語教育の現状をふまえつつ指導者に求められる「読み書き指導の科学」のアップデートが提案されています。このページの下部よりダウンロードの上ご参照ください。
プログラム詳細:
■講演「読み書きがつまずきになる前に-科学で支える小学校英語」 武庫川女子大学准教授 村上加代子氏
英語の「読む」「書く」力につまずく子どもは、中学校になって初めて困難を感じるわけではありません。その兆しは、すでに小学校段階の「聞く」「話す」活動の中に表れています。では、英語の読み書きはどのような順序で発達していくのでしょうか。また、その発達過程に即した指導は、日本の英語教育でどのように扱われてきたのでしょうか。
■実践報告 「高野町の小学校での実践と成果」 高野山小学校外国語主任 足立典子氏
和歌山県高野町では、2021年に始まった新しい取り組みで、スパイラルな取り組みを積み重ねた結果、ターゲット文を覚えるための練習量が年々少なくなりました。また、国語で1年生にひらがなを教える時と同じようにていねいにシンセティック・フォニックス学習を進めることで、子どもたちに多くの変化が生まれました。今では6年生の子どもたちが、自分のことを話せるだけでなく、自分で初見の英語が読むことができ、「前よりスラスラ言える」「英語が読める」「英語が楽しい」という感想が聞かれます。どの学年で、どんな内容で、どの程度学習・指導を行っているかなど、6年間のカリキュラムの概要と日々の実践についてお話します。
■ワークショップ 「語彙力とオーラシー(聞く話す)を育む活動」 ブリティッシュ・カウンシル ローラ・プラット
言語を学ぶ時、最初に触れるのは「音」、そして語彙は言語力の要。外国語として英語を学ぶ環境では、読み書き指導に移る前に、英語の音に対する気づきを高めたり、意味のある文脈で語彙に触れたりする取り組みが重要です。ワークショップを通し、小学校で留意すべき視点の具体例を実演します。
参加者からの感想:
- 単語の理解において、スペルの認識が大事であるとわかりました。そして小中接続のために重要な視点であると感じました。
- 文字と音の対応がつまずきを感じる原因となっていることがわかりました。 理論的につまずきを解決することは子どもの安心感につながりますね。
- 読み書きは差がつきやすく、すべての児童ができるヒントを求めて参加いたしました。文字と音を対応させることの大切さ、スモールステップをふみながら音韻認識を高めていくことの大切さを改めて感じました。
- 小学校の英語教育や言語習得の過程などがわかり、とても有意義であり授業改善の視点となったのが良かったです。
- フォニックスの重要性が理解できました。高野町の実践例を見ることができて、やってみたいという意識が出てきました。