日本だけでなく世界各国で急速に高齢化が進む中、高齢者の「孤立」は深刻な社会問題となってきました。新型コロナウイルス感染症の拡大で、その傾向はさらに強まっています。
日本と同様、少子高齢化に直面している英国では、美術館や劇場、オーケストラをはじめとする文化芸術機関が、長年にわたり高齢者や認知症のある人々の生活の質を上げる取り組みをしてきました。コロナ禍においても、デジタル、非デジタルを問わずにさまざまな方法を駆使し、アートを通して高齢者と社会をつなぐ活動を継続しています。
本フォーラムでは、昨年同テーマで開催したフォーラムの続編として、英国のクリエイティブ・エイジングの概況や、日英の文化芸術機関による高齢者を対象としたプログラムの最新事例を共有します。また、高齢者の孤立やウェルビーイング向上という課題に文化芸術がどのようなアプローチができるか、ポスト・コロナを見据えた今後の可能性についてディスカッションします。
開催概要
日時: 2022年3月9日(水)18:00-20:00(日本時間)
会場: オンライン(Zoom開催、事前に参加URLをお送りします)
対象: 美術館、劇場、ホール、オーケストラなど文化芸術関係者、福祉・医療関係者、研究者など
参加費: 無料(日英同時通訳)
主催: ブリティッシュ・カウンシル
お申し込み方法: 専用オンラインフォーム よりお申し込みください。
お問い合わせ:ブリティッシュ・カウンシル uk-event@britishcouncil.or.jp
*手話通訳など、アクセスサポートをご希望の方は2022年2月27日(日) 23:59(日本時間)までに上記の専用オンラインフォームよりご連絡ください。
プログラム
1. 基調講演 (事前収録)
「イングランドにおけるクリエイティブ・エイジングの概況(仮)」
バージニア・タンディ(クリエイティブ・エイジング・ディベロップメント・エージェンシー ディレクター)
2. 日英の事例紹介およびパネル・ディスカッション
請川幸子(彩の国さいたま芸術劇場 事業部 副参事)
キャサリン・キャサディ(スコティッシュ・バレエ ディレクター・オブ・エンゲージメント)
ニッキー・テイラー(リーズ・プレイハウス シアター・ディメンシア・リサーチ・アソシエート)
リジー・ホスキン(マンチェスター・カメラータ ヘッド・オブ・コミュニティ)
【モデレーター】
吉本光宏(ニッセイ基礎研究所 研究理事・芸術文化プロジェクト室長)
スピーカー・プロフィール(五十音順)
請川幸子(彩の国さいたま芸術劇場 事業部 副参事)
英国サリー大学(修士課程)で舞踊学を、東京大学(修士課程)で舞踊人類学を修めた後、2004年より彩の国さいたま芸術劇場にて主に舞踊部門の事業にたずさわり、国際的な振付家による招聘公演から地域コミュニティとの協働プログラムまで、舞踊の分野で幅広い活動をおこなってきた。2016年からは、彩の国さいたま芸術劇場が推進する高齢者のための芸術プログラムに携わり、「世界ゴールド祭」ではプログラム・ディレクターとして、各国の高齢者舞台芸術の取り組みを紹介。現在は、今年4月に就任する同劇場新芸術監督を補佐し、新体制でのプログラム策定等を行っている。
キャサリン・キャサディ(スコティッシュ・バレエ ディレクター・オブ・エンゲージメント)
20年以上にわたり、健康、教育、改革など幅広いコミュニティの場でダンスを活用してきた経験を持つ。スコティッシュ・バレエのディレクタ・オブ・エンゲージメントを10年間務め、カンパニーがダンスを活用しながら健康福祉(ヘルス)の領域で専門性を示すことをリードしてきた。現在スコティッシュ・バレエでは神経疾患を持つ人々を対象に、パーキンソン病の人々のためのDance for Parkinson's Scotland、認知症の人々のためのTime to Dance、多発性硬化症の人々のためのElevateという3つのダンス・ヘルス・プロジェクトを展開している。そのほか、若者のウェルビーイング向上を目的に、アイデンティティや多様性、LGBTQなどのテーマを探求するダンス・プロジェクトなども展開している。1998年にバーミンガム大学を卒業し、振付師、ダンスアーティスト、プロデューサーとして国内外で活躍。アーツ・カウンシル・イングランド、クリエイティブ・スコットランドなどでも専門アドバイザーを務めている。
バージニア・タンディ(クリエイティブ・エイジング・ディベロップメント・エージェンシー ディレクター)
イングランドの高齢者のためのクリエイティブ・エイジング推進のための調査や提言を行うクリエイティブ・エイジング・ディベロップメント・エージェンシー(CADA)のディレクター。マンチェスター・シティ・ギャラリー館長(1998-2008)、マンチェスター市文化部門ディレクター(2008-2011)、ミュージアム・アソシエーション会長(2006-2008)、宝くじ基金評議員(2009-2015)を歴任。現在はリバプール国立博物館およびグラナダ財団のボードメンバーを務める。また、マンチェスターを拠点とする音楽団体ブライター・サウンドのチェア、セント・ポール大聖堂のファブリック委員会のメンバーでもある。
ニッキー・テイラー(リーズ・プレイハウス シアター・ディメンシア・リサーチ・アソシエート)
演劇と認知症のスペシャリストとして、2005年よりリーズ・プレイハウスにて画期的なクリエイティブ・エイジングの実践をリード。世界初の認知症の人々に配慮したディメンシア・フレンドリーな演劇作品を創作。そのような作品上演のためのベストプラクティスガイドにまとめ、広く活用された。また認知症の人々がキュレーションを行った先駆的な演劇祭「エブリ・サード・ミニット」を立ち上げ、監督を担当。現在は、リーズベケット大学の認知症研究センターで博士号取得し、同センター研究員として認知症の人々との創造的共同制作のプロセスを研究している。グローバル・ブレイン・ヘルス研究所(トリニティ・カレッジ・ダブリン/カリフォルニア大学サンフランシスコ校)のシニア・アトランティック・フェロー、英国のチャーチル・フェロー。25年以上にわたって、介護、医療、コミュニティ、芸術の現場で、高齢者とともに活動中。
リジー・ホスキン(マンチェスター・カメラータ ヘッド・オブ・コミュニティ)
15年以上にわたりBBCでラジオプロデューサーを務めた経験を持ち、2020年1月にマンチェスター・カメラータ管弦楽団のコミュニティ向けプログラムの責任者としての任務をスタート。2020年3月のパンデミック以降、学校や高齢者に向けたデジタルプロジェクトや、介護者向けのオンラインコンテンツの開発などに取り組んでいる。マンチェスター・カメラータはチャリティ団体のため、活動を継続するための資金調達も担当。英国全土で展開している認知症の方々のためのラジオ番組「Music for Dementia」の制作にもボランティアとして参加している。
吉本光宏(ニッセイ基礎研究所 研究理事・芸術文化プロジェクト室長)
1958年徳島県生。早稲田大学大学院(都市計画)修了後、建築設計事務所、社会工学研究所などを経て、1989年からニッセイ基礎研究所。東京オペラシティやいわきアリオス、東京国際フォーラム、国立新美術館などの文化施設開発やアートワーク計画のコンサルタントとして活躍するほか、文化政策や創造都市、文化施設の運営・評価、オリンピック文化プログラムなど芸術文化領域の幅広い調査研究に取り組む。文化審議会委員、東京芸術文化評議会評議員、東京2020組織委員会文化・教育委員、公益社団法人企業メセナ協議会理事、公益財団法人国際文化会館評議員、日本文化政策学会理事、東京藝術大学非常勤講師などを歴任。
留意事項
- ご参加には機器やZoomのアプリ、安定したインターネット回線などが必要です。各自でご準備の上ご参加ください。
- ご参加に必要な情報はメールで前日までにお送りします。
- 録画や録音はお断りしております。