現代のコミュニケーションにおいて、英文メールはビジネスシーンでもプライベートでも欠かせないツールです。しかし、「英語でメールを書くのは得意だけど、最後の締め方がいつもこれでいいのか悩む…」と感じる方は多いのではないでしょうか?
特に、日本語では問題ない表現が英語では失礼にあたることも。例えば、親しい友人に送るメールの結びに「a kiss」と書くのは自然でも、仕事のメールでは不適切です。せっかく時間をかけて完璧な英文を書き上げても、メールの結び方を間違えてしまうと、相手に与える印象を大きく損ねてしまう可能性があります。
この記事では、元英語教師のプロが、様々な英文メールの状況に応じた適切な締めくくり方を徹底解説します。ビジネスメールから友人へのカジュアルなメールまで、自信を持って英文メールを送れるようになるためのヒントが満載です。
英文メールの結び方を決める「たった1つの重要なポイント」
英文メールの締めくくり方を選ぶ上で最も重要なのは、「メールの相手(読み手)と、メールの目的」を明確にすることです。
メールは現実的なコミュニケーションツールであり、特に仕事で英文メールを書く場合、不適切な表現は誤解や恥ずかしい事態を招く可能性があります。相手との関係性(親しさの度合い)や、メールで伝えたい内容(依頼、情報提供、感謝など)によって、適切な結びの言葉は大きく変わってきます。
この原則を念頭に置いて、具体的な英文メールの締めくくり方を見ていきましょう。
1. 友人や家族へのカジュアルな英文メールの締めくくり方
親しい友人や家族に英文メールを送る際は、くだけた表現や親しみのある表現、時には愛情のこもった表現を使うことができます。
一般的な例:
- See you soon, (また近いうちに会おうね)
- 例: See you soon, Marta
- Love, (愛を込めて)
- 例: Love, [自分の名前]
- Speak soon, (また近いうちに話そうね)
- 例: Speak soon, lots of love, Jordi xx (xxはキスを表します)
- Chat later, (また後で話そうね)
- 例: Chat later, Marc
【注意点】 日本語では「キス」や「ハグ」といった表現を親しいメールの結びに使うことがありますが、英文メールでは「X」や「XXX」(キスを表す)を非常に親しい家族や友人に対してのみ用います。しかし、どんなに親しい上司や同僚であっても、仕事のメールで「XXX」を使うのは絶対に避けるべきです。
2. 同僚、教師、クラスメイト宛ての英文メールの締めくくり方
仕事や学習に関する英文メールの場合、フレンドリーでありながらもフォーマルさを保ったトーンが最適です。普段から頻繁にやり取りをする相手や、ある程度の関係性が築けている相手へのメールを想定しています。多くの人が自分のお気に入りの結びの表現を持っているので、自分にしっくりくるものを選んでみましょう。
適切な締めくくり方の例:
- Regards, (よろしくお願いいたします)
- 例: Regards, Dan
- Best wishes, (ご多幸をお祈りいたします)
- 例: Best wishes, Eva
- Best regards, (よろしくお願いいたします)
- 例: Best regards, Cho
- Best, (略式の「Best regards」)
- 例: Best, Javi
- Thanks, (ありがとう)
- 例: Thanks, Pol
- Cheers, (ありがとう、ではまたね ※イギリス英語でカジュアル)
- 例: Cheers, Miriam
【応用テクニック】
- イニシャル: かなり親しい相手であれば、名前のイニシャルだけで締めくくることも可能です(例: Ray → R)。しかし、そうでない場合は無礼に見えたり、ぞんざいな印象を与えたりする可能性があるので注意が必要です。
- 季節の挨拶: メールを送るタイミングに応じて、「Have a good weekend (良い週末を)」や「Have a good week (良い一週間を)」などを付け加えることで、よりパーソナルな印象を与えることができます。
3. 初めての相手や知らない相手へのフォーマルな英文メールの締めくくり方
このタイプの英文メールは、最も慎重さが求められます。特に相手と初めて連絡を取る場合は、メールのトーンや言葉遣いがその後の関係性に影響を与えることもあります。英文メールは、紙の手紙ほど堅苦しくない傾向がありますが、テキストメッセージとは明確に区別し、省略せずに全文を書き、正しい英文法を使い、読みやすい構成にすることが重要です。
ニュートラルまたはフォーマルな締めくくり方:
- Best regards, / Kind regards, / Regards, (よろしくお願いいたします)
- 例: Best regards, Jon
- Many thanks, (どうもありがとうございます)
- 例: Many thanks, Alvaro
少し親しみやすい選択肢:
- Best wishes, (ご多幸をお祈りいたします)
- 例: Best wishes, Elena.
非常にフォーマルな場合(または苦情メールなど):
- Sincerely, (敬具)
- 例: Sincerely, Diego
- 補足: 一般的に英文メールでは「Yours sincerely」や「Yours faithfully」はあまり使いませんが、非常にフォーマルな手紙や公式文書などでは使用されることがあります。
【返信時の注意点】 相手からのメールに返信する際は、そのメールで使われているトーンに合わせるのが賢明です。例えば、相手が「All the best」で締めくくっていたら、「Sincerely」ではなく、それに近いカジュアル寄りの表現を使うと自然な流れになります。
【ビジネスメールの署名】 仕事で英文メールを書く場合、メールの結びはファーストネームだけでも問題ありません。通常、メールのフッター(署名欄)にフルネーム、役職、連絡先情報などが記載されているためです。
英文メールを締めくくる前の最終チェックリスト
メールを送信する前に、一度立ち止まって内容全体を見直すことで、より効果的なコミュニケーションが可能になります。メールの「目的」が明確であれば、それに合った締めくくり方が自然と見えてきます。
メールの目的と適切な結びの表現例:
-
情報を求めるメールの場合
- Formal: I look forward to hearing from you soon, (近々ご連絡いただけることを楽しみにしております。)
- Less formal: Looking forward to hearing from you, (ご連絡お待ちしております。)
-
情報を提供するメールの場合
- Formal: If you need any further information, please don't hesitate to get in touch. (追加情報が必要な場合は、遠慮なくご連絡ください。)
- Less formal: Please let me know if you need anything else. (他に何か必要でしたら、お知らせください。)
-
サポートを求めるメールの場合
- Formal: Many thanks in advance for your help. (ご協力ありがとうございます。)
- Less formal: Thanks again for all your help on this. (この件でのご協力、改めてありがとうございます。)
-
質問に答えるメールの場合
- Formal: I hope that you will find this information useful. (この情報がお役に立てば幸いです。)
- Less formal: Hope this helps - let me know if you have more questions. (お役に立てれば幸いです。ご質問があればお知らせください。)
まとめ:状況に合わせた英文メールで「伝わる英語」を
今回のガイドラインを参考に、英文メールを書く際は、まず「誰に」「何を目的として」書くのかを考えてみてください。そうすれば、常に適切なトーンでメールを締めくくることができるでしょう。
英文メールをフォーマルな手紙のように厳格に書く必要はありませんが、絵文字の多用や「!!!!!」のような感嘆符の羅列、その他句読点の不適切な使用は避けるべきです。
英文メールの締め方に自信が持てるようになれば、あなたの英語でのコミュニケーション能力は格段に向上するはずです。
もし、英語学習に関するさらに詳しいアドバイスや、実践的な英文メールのライティングスキルを身につけたい場合は、大人向けの英語クラスの受講もぜひご検討ください。あなたの英語学習をサポートする最適なクラスがきっと見つかるはずです。