By 英語教育支援チーム

2021年 03月 18日 01:18

「英語を習うなら、当然ネイティブ・スピーカーからがいい」と考える人は多いようです。ネイティブ・スピーカーだとたくさん英語が聞けるとか、発音面で違いがあるのではないかという理由があげられるようです。本当に非ネイティブ・スピーカーの教師から学ぶより、ネイティブ・スピーカーから英語を学ぶ方が効果的なのでしょうか。エビデンス(研究成果)から考えてみましょう。

教師の英語力がもたらすエビデンス

ネイティブ・スピーカーと非ネイティブ・スピーカーが授業中に行ったインプットの量を比較した研究によると、「個々の教師の資質の方が重要だ」という指摘がされました。発音についても、教師がネイティブ・スピーカーであるかどうかと学習者の音素を識別する力には関係がないという研究もあります。以前に文部科学省が行った調査では、教師の英語力の高さと生徒の英語力には関連性は認められませんでした。

母語としての言語力と外国語指導との違い

英語を教える以上、教師に一定の英語力は求められます。幼児や小学生対象であってもそれは当然で、中高生を教える上では、国際基準のCEFRでB2のスピーキングレベルは必要でしょう。けれども、英語を上手に話せることと、それを教えることは全く別物です。文脈を日本語に置き換えて考えてみるとわかりやすいでしょう。「日本語ネイティブ」だからといって、外国人に日本語の文法をわかりやすく説明したり、日本語の話し方を上手に指導できるわけではありません。ネイティブ・スピーカーには言語指導の経験がない人は多いですし、言語を母語として話せることと、その言語の指導ができることは全く別の問題です。

効果的な指導とは

では、英語についての高度な専門知識があるといい教師なのでしょうか? 有名な教育学者ジョン・ハッティは、「高度な専門知識があることと、効果的な指導ができることとは別だ」と指摘しています。これは、“オリンピック選手=優れた体育教師”ではない、ということとよく似ています。

効果的な指導をする上で彼が重視しているのは、「明確でわかりやすい説明ができること」や「生徒と良好な人間関係を築くこと」です。また、教師自身の外国語に対する姿勢、つまり、英語や英語学習に前向きで、興味関心をもって取り組んでいるかどうかの態度を重視する研究成果もあります。

これまでに私たちは日本各地の英語の授業をたくさん見学してきましたが、確かに教師が前向きで楽しそうに英語を使い、教師と生徒の間に信頼関係があり、明瞭でわかりやすい授業では、生徒からたくさんの英語が飛び交っている様子がありました。

必要なのは授業スキル

まとめると、よりよい英語指導を行うためには、教師自身が興味をもって取り組み、効果的な授業運営や生徒とよい関係性を築く方法、そして、明確な指示や説明ができる指導法等を学ぶことが重要だと言えます。実践的で専門的な授業スキルを身につけることが、子供たちの英語力を高めることにつながります。
 

参考文献
Gardner, W. “The need for effective English teachers,” Japan Times. 10 Sep. 2016
バトラー後藤裕子. 『英語学習は早いほど良いのか』 (岩波新書、2015年)
吉田研作.「小学校英語の基本的考え方とこれからの方向性」、吉田研作編『小学校英語教科化への対応と実践プラン』(教育開発研究所、2017年)
Hattie, J. Visible learning: a synthesis of meta-analyses relating to achievement. (Routledge. 2009)
Enever, J., et al.  Early Language Learning in Europe. (British Council. 2011)

関連リンク