英国は科学の歴史において特別な位置を占めています。アイザック・ニュートンから、チャールズ・ダーウィン、ロザリンド・フランクリン、スティーヴン・ホーキングに至るまで、科学のごく初期の時代から数多くの発見がなされたことで世界に知られています。英国はまた、発見を生活のあらゆる側面に応用するという点でも世界有数の革新性を誇り、新たなアイディアやテクノロジーを開発して製造現場から家庭に届けています。したがって、英国の研究が世界をリードしているということも驚くに当たりません。科学研究の数では世界で第3位であり、また、これまでのノーベル賞受賞者のうち91名が英国人で、そのほかのさらに多くの受賞者が英国で学び研究した経験があります。そして、未来のノーベル賞受賞者となりうる人々が英国の大学には数多く在籍しています。

University of Southampton: Changing Environment, Changing Lives: Assessing Risk from Climate Change in South East Asia

Date: Tuesday, 23 November 2021
Time: 17:30 to 18:45 (in Japan time)
Presenter: Prof. Craig Hutton, Professor of Sustainability Science, School of Geography and Environmental Science, University of Southampton

Masterclass brief:
ASEAN諸国では、人口および経済活動が沿岸地域に集中し、農業への依存度が高く、また、それを支える水資源が必要であるため、気候変動に対してきわめて脆弱です。海面上昇や極端な気象現象の頻度および強度が高まっているという状況に対処するため、開発計画では適応能力の強化が必須となっています。地域あるいは現地レベルではデータが存在するかもしれませんが、危険の内容と住民の脆弱性に基づいたしっかりとしたシステミックリスクの枠組みに組み入れられてはいない状態です。The School of Geography and Environmental Science, University of Southampton では、ブリティッシュ・カウンシルの支援を受け、英国、ベトナム、タイの研究者によるチームをリードし、国内の能力を構築するとともに必要なデータやモデリング、ワークフローを特定する方法を模索し、ASEAN の2つの地域における水資源と洪水管理リスクの効果的な数値化に取り組んでいます。その地域とは、ベトナムのメコンデルタとタイのチャオプラヤー川流域で、海面上昇に対する脆弱性が世界で最も高い地域に含まれると認識されているものです。どのようなデータやモデルが必要かを定め、それをとりまとめる分析方法をデザインすることにより、最適で活用しやすく政策への関連性を持つ形での気候リスク評価が可能です。現在も進行しているこの取り組みは、ジェンダーや公平性に配慮した洪水や水資源のリスクマップの策定を可能にするとともに、COP26 にも貢献するものとなるでしょう。

Presenter profile: 
Professor Craig Hutton
世界各国において、国連機関、各国政府、NGO とともに気候変動などの環境変化が地方の共同体の生活や暮らしに与えてきた影響の解明に取り組んでいます。洪水、干ばつ、塩分、暴風雨などの環境ストレスの専門家とともに取り組みを進め、貧困状態、土地利用、堆積物抽出のマッピングを行い、環境変化の影響を最も強く受ける人々と地域を評価する方法を構築しました。これは脆弱性マッピングと呼ばれ、どのような人々がどのハザードに影響を受けそうなのかを示すもので、その目的は、政策策定者や貧困対策・土地保全に関する意思決定者が注力すべきなのはどこかを理解できるようにすることです。特に注力しているのは河川のデルタシステムで、そのなかにはガーナのボルタ川デルタ、バングラデシュとインドのガンジス川・ブラマプトラ川・メグナ川デルタ、ベトナムのメコンデルタなどがあります。肥沃なデルタシステムは食料生産や居住地として重要な役割を果たすことが多い一方で、海面上昇、河川や沿岸の洪水、長期にわたる干ばつ、そして人間による開発の強い圧力といった気候変動の影響を最も受けやすい場所でもあります。

University of Warwick: Introduction to Integrated Science – an interdisciplinary approach to the natural sciences

Date: Wednesday, 24 November 2021
Time: 17:30 to 18:45 (in Japan time)
Presenter: Robert Cross, Professor of Mechanochemical Cell Biology, University of Warwick

Masterclass brief:
Integrated Science は自然科学に対する新たなアプローチであり、生物学、化学、物理学、数学、コンピューティングなどの広範な学術分野の技法や考え方を自由に活用できるようにすることを目指しています。このコースの学生は最初から専門の科学者の指導を受け実験を行って科学課題に取り組みます。主にPython(パイソン)を用いたコンピュータ処理はコース全体にわたって行われます。今回は、この革新性に富む新たなコースが学生にもたらすものは何かについて説明します。コースの先陣を切った学生が初年度を終えたところであり、今回の特別講座ではこの1年に彼らが学んできたことも紹介されます。

Presenter profile: 
Professor Robert Cross 
研究者として、分子モーター、すなわち、細胞分裂を促進する極小エンジンの基礎メカニズムの理解に取り組んでいます。ザルツブルクと、ケンブリッジの MRC-LMB:Medical Research Council-Laboratory of Molecular Biology にて、博士研究員として研究に従事したのち、Marie Curie Cancer Research に移り、脳内の主要な分子モーターであるキネシンについて数々の発見を行いました。2010年には、Warwick university にて CMCB:Centre for Mechanochemical Cell Biology を新たに設立。その後、次世代の科学者が学術分野の境界を超えて自由に考え、行動することができるよう教育することを目指して、他に類を見ない新たな4年間の学部コース Integrated Science を同僚とともに創設しました。