●調査概要
調査B「教員研修の成果を検証する調査(2019年12月実施)
調査対象:公立中学校の英語教師118名(調査Aに回答102名)
調査方法:質問紙調査 無記名

(研修受講者の声)

  • もっともっと足場掛けが必要だということがわかった。
  • 授業に対して自信を持って言語活動を行えるようになった。生徒にきちんとスモールステップを設定し、自信を持って英語が使えるようサポートしたい。
     

1. 研修受講後に、自分の授業改善に対するモチベーションや授業に対する自信が著しく改善

  • 「自分の授業改善に向けてモチベーションが向上した」は、「そう思う」(とてもそう思う+そう思う の合計)が97%、「言語活動中心の授業をする自信」については89%となり、いずれも研修が教師に大きな影響を与えたことが判明。
  • 研修内容を授業で実践した結果「生徒に成果が見られた」のは、「そう思う」が20%、「そう思う」が62%と、これは、研修後1か月間についての変化であることを考慮すると、著しく高い。
  • 数値は高い方から順に、教師のモチベーション>自信>生徒の変容、となっている。通常、モデルを提示され、やり方を教えてもらい、それが「いい結果を導きそうだ」という期待が高まると、授業改善に向けたモチベーションが向上、実践を繰り返すことで自信につながる、という流れとなるため、この数値の違いは順当と判断。
  • 通常、指導改善の成果が出るまでには一定の期間がかかると言われているが、今回、生徒への成果がこれだけ認められたということは非常に注目に値する。今後、生徒の情意面の変容だけでなく、成績面についてもよい成果が出るよう、他の技能についての研修と指導改善を継続していくことが必要である。

2. 授業実践の感想からは、研修で紹介した「足場掛け」が効果的に機能することが認められ、積極的に活動に参加する生徒が増加

  • 研修で紹介された「足場掛け」の指導技術は、多くの教師にとって初めて知ることが多かったようだ。また、以前から知っている内容であっても、本研修を通して具体的な指導の仕方が周知されたと見受けられる。
  • 具体的で実践的な指導技術の伝授を通して、「やり方」が分かったため、授業ですぐに使ったという受講者がほとんどだった。生徒に変化が見られたことは、教師にとっての大きなやりがいにつながっている。

【受講者の声】

「即興でのやりとり」を意識した言語活動を行ってきたが、今回の研修を通して、もっともっと足場掛けが必要だということが分かり、実践したところ、(生徒の)活動への初動がとても良くなりました。飽きることなく、繰り返せているので、使えるようになった生徒が増え、休み時間に英語をきく回数(生徒同士での会話)が増えました。

授業に対して自信を持って言語活動を行えるようになった。生徒にきちんとスモールステップを設定し、自信を持って英語が使えるようサポートしたい。

研修で、「(英語で話をする前に)日本語で考える時間があると、それによりイメージが広がっていくこと」を習い、本当に役に立ちました。いきなり英語でという訳にはいかない生徒も多いため、ステップが自然につくれました。

研修で実際に生徒の立場を体験することで、よりモチベーションが向上しました。使用場面に合った指導が必要だと改めて実感しました。

紹介された方法を使った活動では“何と発言するのか”を主体的に考える生徒の姿が見られた。生徒たちも“一言一句丸暗記”ではなく“手がかりをもとに対話する”活動ができたことで、表現力が向上したと感じたようでした。

学校に戻ってからのモチベーションが高まるような内容でした。講師の英語がとても分かりやすかったです。また、場の設定の仕方がうまかったです。自然と英語を使えました。 

3. 受講者は、「生徒の立場を体験」「具体的な指導技術を提供」「同僚と協議」する研修を高く評価

  • 国際教員指導環境調査TALIS(*1)は、教員の職能開発が与える影響について、次のように記載している。
     
    研修において教師が、「各自の成長を共に構築する立場」というよりは、「知識の消極的な受け手」となっている傾向がある。このことは、研修が、教師が授業や業務を行う学校という場面から分断されている場合があることと関係がある。指導改善のためには、教師の経験、学校の文脈、同僚性などを考慮に入れることが重要であり、学校で活用できる能力やノウハウを扱うことも必要である。
     
    「自分の指導方法に良い影響がある研修に参加していると回答した教員は、自己効力感と仕事への満足度が高い傾向があることも明らか」と分析している。
     
    職能開発活動に要している時間は、OECD平均2.0時間に対し、日本は0.6時間(通常の1週間に占める時間)である。
  • 今回実施した「足場掛け」の指導法研修について、受講者は主体的・体験的な進め方やノウハウが提供されたことを評価(図10参照)。研修内容以外の要素も教師の自信向上や生徒の変容等を導いたと分析される。
  • 英語教育の変革期において、教師がこれまでに経験したことがない指導法が求められる中、英語教師の授業に確実に良い影響を与える研修の充実が急がれる。

*1 OECD, TALIS2018 Results (Volume I)

(図10) 11月と12月の研修について とてもそう思う そう思う
生徒の立場から指導を体験することで、どのように授業を目指せばいいか理解できた 50% 47%
実際に授業で使える指導技術を知ることができた 49% 50%
グループワークや模擬授業を通して指導技術を練習することができた 40% 53%
同僚やトレイナーからのフィードバックが指導技術を練習することに役立った 43% 51%
他校の教師との意見交換を通して研修内容に対する理解が深まった 53% 44%

 (注)調査のデータは四捨五入のため、合計が100%にならない場合があります。  

 
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