Salon-Session

Image: © British Council

わたしたちが生きる現代社会は、あらゆる分野で課題に直面しています。課題としなやかに向き合い、セクターや世代の壁を超えた対話を通してクリエイティブに課題解決に取り組む姿勢が求められる中、新しい価値の創出に向けたさまざまな分野での協働がはじまっています。同時に、日々進化を遂げるテクノロジーの普及も社会に大きな影響を与え、人々の表現手法やコミュニケーションなどの面で、多様な変化が生まれています。

2014年5月、ブリティッシュ・カウンシルは、より創造性あふれる社会のあり方や、アートとテクノロジーの融合によって生まれる新しいイノベーションの可能性について日英の関係者が情報を共有し今後の可能性について探るため、英国でアートとテクノロジーをつないだユニークな取り組みを行っているデジタル・クリエイティブ・エージェンシー「ケイパー」の代表、ケイティ・ビールと、ブリティッシュ・カウンシル英国本部でクリエイティブ・エコノミープログラムのディレクターとして世界各国でプログラムを展開しているビアトリス・ペンブルックを招聘しました。

5月29日には、『アートとテクノロジーが描く未来』をテーマに、日英の関係者がセクターや分野の壁を越えて自由にディスカッションを行うサロンセッションを開催し、芸術文化関係者、デザイナー、クリエイター、IT、民間企業、行政機関、NPOなどで活動する約50名の方々が参加しました。セッションでは、ケイパーが手掛けるプロジェクトや、英国で展開されているテクノロジーと文化の境界を超えた取り組みなどについて紹介したほか、さまざまなテクノロジーを使った実験や、オープンデータ、領域を超えた創造的な協働など、日本で近年活発に行われている活動の事例も、日本の参加者からご紹介いただき、これからの社会のあり方や、アートとテクノロジーが起こす化学反応の可能性についての自由な意見交換が行われました。

セッションで紹介した英国の事例をまとめたミニ・レポートはページ下のダウンロードリンクよりご覧いただけます。

セッション概要

開催日:2014年5月29日(木)
会場:KREI SALON (クレイサロン)
主催:ブリティッシュ・カウンシル

スピーカープロフィール:ケイティ・ビール

Katy Beale(ケイティ・ビール)
Caper 代表

2011年にCaperを共同設立。戦略、製品、イノベーションプログラムのデザインを通して、文化的変革(カルチュラル・チェンジ)を促進するさまざまなプロジェクトを展開している。

Caper設立以前は、大手エージェンシーでDiageo、Orange、PhillipsやNokiaといった世界的ブランドのコミュニケーション・ストラテジストとして働く。2009年には、英国を代表する美術館、テートのソーシャルメディア戦略の改革に携わり、2010年に出版された”Twitter for Museums: Strategies and Tactics for Success“にその際の経験を寄稿。2011年には、美術館やギャラリーにおける、ゲームの手法を使用した多様な観客層に向けた、エデュケーション、アウトリーチプログラムを紹介する書籍、“Museums at Play“の編集を担当。現在はロンドンのDiscover Children’s Story Centreの理事も務めるなど、多岐に渡り活躍している。

Caper (ケイパー)

英国ロンドンを拠点に、テクノロジーと文化が交わる境界で活動を展開。さまざまな人や組織と協働し、実験的なプロタイプ制作やデジタル技術を使った新しい考え方を生み出すことでイノベーションの創出を促進している。組織内変革やR&Dプログラムのデザイン、またデジタルプロトタイプ制作のコンサルティングを行うと同時に、独自のプロジェクトも展開している。

2011年1月には、芸術文化とテクノロジーおよびクリエイティブセクターが協働することにより生まれるイノベーションの新たな創出をめざし、「カルチャー・ハック」を立ち上げた。2010年には、ロンドンで大規模なカルチャー・ハックを実施。アーツカウンシル・イングランド、Google、BBC 、Wieden + Kennedyなどが協力。デベロッパー、デザイナー、アーティスト、プロデューサーらが集い、美術館や博物館、ホールなどから提供されたデータをもとに、実際にコーディングを行い、文化セクターの持つデータの可能性を提示した。

カルチャー・ハックは英国各地で展開されており、これまでに国立海事博物館、ウェールズ・ナショナル・オペラ、グラスゴー・ミュージアムといった文化機関から提供されたデータをもとに、デジタル技術による“ハック”と紙ベースのプロトタイプが作られてきた。カルチャー・ハックはアート、メディア、広告、テクノロジー業界の従事者が一緒に考え、学び、課題を共有できるプラットフォームとして注目されている。

スピーカープロフィール:ビアトリス・ペンブルック

Beatrice Pembroke(ビアトリス・ペンブルック)
ブリティッシュ・カウンシル英国本部 クリエイティブ・エコノミーチーム ディレクター

英国の公的な国際文化交流機関、ブリティッシュ・カウンシルのクリエイティブ・エコノミープログラムのディレクターとして、クリエイティブ産業に従事する人材や組織、大学・政府機関などと協働し、国際的なコラボレーションや人的交流、知識の共有を進めている。現在進行中のプログラムにはブラジルのPlayable City with Watershed、インドのUnbox Labs、ロシアで展開しているFutureEverything などがある。

Simon & Schuster、Index on Censorship、BBC、MTVを経て現職に就く。University College LondonでLiterature and Cultureで修士号を取得。

British Council Creative Economy Programme

英国の公的な国際文化交流機関、ブリティッシュ・カウンシルによるクリエイティブ・エコノミープログラムは、近年成長を続ける英国や世界のクリエイティブ産業界を繋ぎ、政策形成の援助だけでなく、起業家精神やリーダーの育成も行いながら、セクターをまたいだクリエイティブな協働による変革を起こしている。各国のパートナーと一緒にそれぞれの文脈に適した形で、クリエイティブな活動に従事する人を支援、文化政策やクリエイティブな活動の発展を支える枠組みの整備を促すプログラムを展開。特に、文化とビジネス、デジタル技術分野に従事する人の間のコラボレーションを促進することでR&D分野の成長や新しいビジネスモデルの誕生を後押ししている。