ロンドン交響楽団とのプロジェクトの準備段階として、2018年6月13日、14日に、英国でアートと障害の分野で実績のあるシェイプ・アーツから障害当事者でありアーティストであるバーバラ・リシキとサリー・ブースを講師として招き、「障害と平等性、アクセシブルなイベント運営とインクルーシブな実践」に関するトレーニングを実施しました。ロンドン交響楽団との協働に関わる音楽家のほか、ホールや文化芸術関係者、自治体関係者など合計32名が参加しました。

障害を個人の「どこに問題があるのか」に着目する「医学モデル」の考え方に対して、障害は社会や環境が作り出し「障害を引き起こすのはバリアや差別である」と捉える「社会モデル」の考え方などについて学んだほか、言葉の説明のみで絵に描かれていることを再現してもらうエクササイズを行い、音声描写の難しさや可能性について議論。後半のグループワークでは、東京2020文化プログラムの一環でイベントを企画するというお題で、多様な人々を歓迎できるための課題(バリア)や実践的な対策に関してグループで話し合いました。

参加者からのコメント

  • 障害者に対して「どこが悪いのか?」というネガティブな発言をするより、「どうしてほしいか?」と伺うこと(アクセスニーズ)が大事なんだということを学べたことは大きな収穫となりました。障害に関すること以外でもこういう風に違う視点から考えることは非常に大切なことだと強く感じました。
  • 医療モデルと社会モデルという2つの捉え方、考え方があるということが新たな学びでした。障害の詳細を立ち入って聞こうとするのではなく、自分が提供するサービスを行う上で、用意する必要のある設備、サポート等を聞き出すというスタンスの取り方は非常に大切だと分かりました。今後のイベントやWSの企画・運営に生かしていきたいです。

開催概要

日時:2018年6月13日(水)、14日(木)10:00-17:00
会場:ブリティッシュ・カウンシル
主催:ブリティッシュ・カウンシル
助成:公益財団法人東京都歴史文化財団アーツカウンシル東京

講師プロフィール

バーバラ・リシキ(シェイプ・アーツ トレーナー)
トレーナー、コンサルタント。とくに美術や舞台芸術の分野を専門とする。2012年ロンドン・オリンピック・パラリンピック競技大会のセレモニーにおいてアクセス・マネジャーを務め、大会運営のアクセシビリティ向上に貢献。現在は自身の会社Entertrainers LTDと、ディレクターを務めるEquals Trainingで幅広いトレーニングの提供やプロジェクトの運営に携わっている。スタンドアップ・コメディアンとしても活躍し、障害のある詩人、ダンサー、ミュージシャン、コメディアンらが構成するツーリング・カンパニー、The Tragic but Brave Showの創設者のひとりでもある。

サリー・ブース(シェイプ・アーツ トレーナー)
ウィンブルドン・カレッジ・オブ・アートでファインアートの修士号を取得後、ロンドンを拠点に美術家として活動している。英国内外で展覧会に出展するほか、テートやビクトリア&アルバート美術館といった主要な美術館において参加型のアートワークショップや視覚障害者を対象にしたプロジェクトを実施。2005年には、ロイヤル・カレッジ・オブ・アート主催の展覧会に出展するため日本に3週間滞在、奈良や福岡でワークショップなどを行った。2010年にはグレイアイ・シアター・カンパニーでアーティスト・レジデンシーを実施するなど劇場との関わりも多い。アーティストとしての活動の傍ら、2002年から2007年までシェイプ・アートでアート・デベロップメント・マネジャーとして、障害のあるアーティストや観衆のためのアクセシブルなアートプロジェクトの企画運営に従事したほか、近年は視覚障害者の文化へのアクセスを向上させるためトレーナーやコンサルタントとしても活躍している。

シェイプ・アーツ
障害のある人々の文化へのアクセスの向上に取り組んでいる英国の芸術団体で、代表含めそのメンバーとしても障害のある人が多く参加している。障害のあるアーティストの活動機会の促進をめざすとともに、芸術文化機関があらゆる人々に対してより開かれたものになるための研修プログラムや、参加型のアートプログラムの運営などを行っている。受容性(inclusion)、平等性(equality)およびアクセス(access)の分野で、30年を超える革新的な取り組みを通じ、この分野におけるリーダーとして評価を受けている。これまでにロイヤル・オペラハウス、大英博物館、アーツカウンシル・イングランド、大英図書館、ロンドン・オリンピック・パラリンピック組織委員会文化チームなど、英国の主要な芸術文化機関に対して研修を提供。ロンドン五輪の経験をもとに、2012年以降、ブリティッシュ・カウンシルと共に、ブラジルの主要な劇場や美術館のスタッフ向けたトレーニングやアクセシビリティの向上に向けてプログラムを展開している。シェイプ・アーツでは、障害のある、プロフェッショナルな人材がトレーナーとして活躍している。

本サイト内の関連ページ

関連サイト